思春期心性障害
思春期心性障害とは
思春期心性障害は、精神的な問題が原因で身体的な症状を表しているものです。
「不満発散型」「引きこもり型」の2種類の方法でストレスを発散しようとします。
心のもやもやを他人への暴力、いじめ、異性関係、夜遊び、非行などといった悪い形で外に発散しようとしているのが不満発散型。
不登校、家庭内暴力などとして内向させているのが引きこもり型になります。
子供たちは、世界でも有数の学業成績優先(偏差値至上主義)の学校生活を送るうえで、大人には想像できないような過剰なストレスにさらされており、不安、イライラ、閉塞感などを常に感じています。そして、それらにうまく対応できない子ども(成績の伸びない子供、ストレスをうまく昇華できない子供など)の一部は、頭痛や腹痛をはじめとして、下痢や不眠症、無気力・無感動、摂食障害など、様々な症状を抱えます。
思春期心性障害の
主な症状
-
不満発散型
- 他人への暴力
- いじめ
- 異性関係
- 夜遊び
- 非行
”切れやすい”感覚を持つ子供
最近、切れやすい感覚を持つ子供が増えてきています。
その理由は複雑ですが、まず、衝動性を抑えるといわれる脳の辺縁系の未発達が挙げられます。
辺縁系ですが、通常は年齢とともに発達し、怒りを自分でコントロールできるようになります。切羽詰まった状況では、治療としては薬(漢方、西洋薬)心理療法、環境調整等が挙げられます。児童専門のメンタルクリニック、大学病院等に相談してみてください。
次に、社会が子供化しており、未熟化した大人の振る舞いが子供達の問題行動を助長していることがありましょう。また、ギャングエイジがほぼ消滅し、子供が孤立化していることも要因の一つでしょう。
また、社会の風潮の反映でしょうが、万事、刹那的になり、先のことを考える余裕がなく、一時的な激情に容易に駆られやすいことが挙げられましょう。普段はいい子が反社会的行動を取る、その背景に以上のことが関係しているといえます。 -
引きこもり型
- 不登校
- 家庭内暴力
こころにもやもやを抱える子供が、そのエネルギーを内部に向けた結果が引きこもりです。
引きこもりは「心のエネルギー理論」によれば、心のエネルギーが内側にこもった状態とも言えます。引きこもりは、ごく一部は精神病の前触れであったり、不登校やドロップアウトにつながり憂慮すべき事柄であるでしょうが、繊細な子供が超競争社会となった日本の学校から一時的に撤退する、むしろ健全な道と考えた方が現実的であると思います。
引きこもりの追跡報告が続々出ていますが、多くの子供は厳しい日本社会になんとか適応しています。決められた路線からははみ出したからといって、子供に対し、親や大人が焦って叱ったり、嘆いたりしないことだと思います。
人生は長い、まっすぐ行く人はむしろ稀だという感覚が親や大人に必要でしょう。じっと見守る我慢強さが親や大人に求められると思います。子供を信じることです。
ただし、極端な生活の乱れ、ゲーム中毒、独り言や一人笑い、不潔さが見られたら要注意です。なぜならその言動は一部精神病の前兆であることがあるからです。そのような場合は、早めに心の専門家にみてもらうことも必要になってきます。そして時には、両親(親)にカウンセリングを受けていただき、親の心を癒す必要があると思います。
思春期心性障害の
主な治療方法
思春期心性障害は、治療するというよりも、他人に対して取り返しのつかない危害を加えないようにコントロールする、すなわち要所を抑えて上手に付き合わせることが第一だと言えます。
ご家族をはじめ、本人の周りの方々は「見守っていく」という気持ちが非常に大切です。
福岡市の児童心療内科「メンタルクリニック心の声」では、思春期を過ごされているお子様の声もしっかり聞いていきます。
回復に向けて
大切なこと
思春期心性障害を回復させていくのには下記のことが大切です。
- 引きこもりは、繊細な子供が超競争社会となった日本の学校から一時的に撤退する、むしろ健全な道。
- 決められた路線からははみ出したからといって、子供に対し、親や大人が焦って叱ったり、嘆いたりしないこと。
- 人生は長い、まっすぐ行く人はむしろ稀だという感覚で見守ること。
- 子供を信じること。
- 時には、両親(親)もカウンセリングを受け、親の心を癒すこと。